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“日本にも<どんぶり勘定>なる表現があり、結構いい加減なやり方もありますよ。きちんと割るばかりじゃありません。都合に合わせて使い分けているだけです。”と教えてくれました。ごもっともな指摘です。すべてが“割る”と“混ぜる”で割り切れるわけではありません。傾向としてどちらの割合が多いかを観察している点をご理解して頂ければと思います。
韓国の伝統芸能の仮面劇なども、日本の歌舞伎や能などと違い、舞台と観客の分け隔てなく演者と観客が一つ(ハンマダン/一つの庭/ひとつの舞台)になって楽しみます。その名残でしょうか今でも歌番組などを見ると気分が乗ると観客が舞台の前に出て踊ったりして一体となって悦に入ります。
韓国の国旗にも陰と陽が曲線を描いて混ざっており、ハングル文字も子音と母音が混ざって言葉として成立します。韓国人がよく使う“ウリ/我々”という言葉も混ざることで成立します。赤の他人にはつっけんどんで冷たいですが、いったん“ウリ”になると韓国人特有の濃い情が発動します。日本の「親しきなかにも礼儀あり」ということわざが通用しないほど親密に混ざります。
よく街角で同性同士で腕を組み合う姿が見受けられますが、これも“混ざる”感覚ですが、日本の人にとっては違和感があるのではないでしょうか?!
圧巻はクーデターやもろもろの事件で起訴され法廷に現れたチョン・ドゥファン(全斗煥)元大統領とノ・テウ(盧泰愚)元大統領が手をつないでいた写真ではないでしょうか。
“何を大の大人が”とお思いでしょうが韓国人の方が身体接触に抵抗感がありません。ですからドラマで「ハグ(抱擁)」するのも韓国人の方が自然ですし、紹介され他人と会うと会釈よりすぐ手を出して西洋式に握手を求めてくるのも韓国人です。
この「混ざる」とは異質なものが混ざり1+1が化学反応が起こり8~10ににも化けるところが韓国(人)の特徴で、短期間に最貧国から先進国になりえたのも民主化をとげ、k-カルチャーが世界でもてはやされているのも混ぜることによる爆発力がベースにあったからだと思います。
その間ワールドカップで1勝もできなかった韓国サッカーが2002年大会でベスト4に入ったのも、高校野球チームが100校(日本約4500校)にも満たない韓国野球が、駅伝等長距離大会もろくにないマラソン界、すそ野がゼロに近い劣悪な環境でのフィギャスケートなどで、オリンピックの金メダルリストが出たのも「混ぜる」ことから起こる「プラスα」が生じた化学反応が一因だと思います。
勿論良いことばかりあるわけではありません。
異質なものが混ざり合うわけですから現実は「拒絶反応」の方が多かったのではないでしょうか?秀吉の朝鮮侵略によりなすすべなく全国土が蹂躙(じゅうりん)されたのも、19世紀末の西欧帝国主義国の脅威の前で日本のように効果的に対処できず、日本の統治下になったのも、南北分断など国運を左右する危機の前で、当時の指導者が国論を一つにまとめ対処するどころか政争に明け暮れ対立分裂を繰り返し自滅したことは「混ぜる」のマイナス面だったと言えましょう。
今尚世界的激変期においても、一致団結して対処すべき時に与野党が激しく対立しているのも「拒絶反応」のたまものかもしれません。
今回起こった「梨泰院惨事」も人と群がる(混ざる)ことに抵抗がない気質と、いろんな要素で混ざり合うことに慣れていると何か一つ欠けても気が付かない大雑把な発想(気質)が事を大きくした気がします。せめて狭い道を左右同時通行にせず、日本的な感覚で道を一方通行に割って(区切って)いたらこれ程おおごとにはなっていなかったに違いありません。
何もかも混ぜる”と言いう一言で全てにあてはめるのは論理の飛躍であることは重々承知していますし、全体を形づけるピースの1つとして理解していただけたら幸いです。回を重ねながら宗教観、物の考え方、生活習慣などいろいろな分野での韓国と日本との違いを照合し見極めていきます。
※権鎔大(ゴン・ヨンデ)韓日気質比較研究会代表の寄稿。ソウル大学史学科卒業、同新聞大学院修了。大韓航空訓練センター勤務。アシアナ航空の日本責任者・中国責任者として勤務。「あなたは本当に『韓国』を知っている?」の著者。
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