<W解説>韓国での「スラムダンク」人気はなお健在=公開の「THE FIRST SLAM DUNK」ヒット中(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国での「スラムダンク」人気はなお健在=公開の「THE FIRST SLAM DUNK」ヒット中(画像提供:wowkorea)
韓国の聯合ニュースによると、日本の人気漫画「スラムダンク」を原作とするアニメーション映画「THE FIRST SLAM DUNK」が韓国で公開が始まり、30~40代を中心に人気を集めているという。漫画「スラムダンク」は韓国でも1992年12月に翻訳版が発売され、2001年には完全版、2018年には新装再編版が発行された。シリーズ累計発行部数は1500万部を突破するなど、韓国でも高い人気を得た作品だ。

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今でこそ、漫画や映画など、日本の文化コンテンツを比較的自由に楽しめることができるが、かつて韓国では、日本の統治時代(1910~45年)の歴史を考慮し、国民感情を害する恐れがあるとして、法令により日本の漫画や映画、音楽などを規制する時期が長年続いた。それが大きく転換されたのは、1998年に来日した当時のキム・デジュン(金大中)大統領が、日本の大衆文化を解禁する方針を表明したことだった。

以降、韓国は日本の大衆文化を徐々に受け入れ始め、99年には日本映画「Love Letter(ラブレター)」(岩井俊二監督)が韓国で大ヒット。主演の中山美穂さんが叫んだセリフ「お元気ですか?」は当時、韓国人に流行った日本語だ。

これまで韓国では4段階に分けて日本文化を徐々に開放してきており、第4次開放は2004年の1月1日。これにより、一部を除いてあらゆる分野の日本大衆文化が開放された。

「スラムダンク」の漫画本が韓国で発売されたのは1992年で98年の第1次日本大衆文化開放の前。そのため、「桜木花道」は「カン・ベクホ」、「赤木剛憲」は「チェ・ジス」、「流川楓」は「ソ・テウン」といった具合に、登場人物などは全て韓国式に変更し出版された。

登場人物の韓国名が浸透しているためか、今回公開が始まったアニメーション映画「THE FIRST SLAM DUNK」でもそれは変わらなかった。公開決定を伝える韓国メディアも「カン・ベクホをはじめとするソン・テソプ(原作は宮城リョータ)、チョン・デマン(三井寿)、ソ・テウン、チェ・ジスまで、サンブク高校(湘北高校)5人の顔が描かれたイメージが注目を集めている」などと紹介した。

韓国映画振興委員会の集計によると、アニメーション映画「THE FIRST SLAM DUNK」は韓国公開初日の4日に約6万2000人を動員し、興行ランキング2位を記録した。座席数に対する観客数の割合を示す座席販売率は23.2%で、公開中の米映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」(12.5%)を抜いて1位となった。

「THE FIRST SLAM DUNK」は、とりわけ原作漫画「スラムダンク」が出版された当時学生だった、30~40代を中心に関心を集めているという。「タイムマシーンに乗って学生時代に戻ったようだ」と懐かしむ声も聞かれる。

作品は出版当時、韓国でも絶大な人気を誇り、同作を読んでバスケットボールを始めた人も急増。ボールやシューズも飛ぶように売れた。「左手は添えるだけ」、「バスケがしたいです」などといった登場人物の名ゼリフは、かつて原作を夢中で読んだ30~40代の人たちの脳裏に焼き付いている。また、昨年の北京冬季五輪に、カーリング女子韓国代表チームの選手として出場したキム・ウンジョン選手は「メガネ先輩」の愛称で呼ばれるが、これはキム選手が競技中に特徴あるメガネをかけており、「スラムダンク」に出てくる「メガネ君」こと木暮公延に由来する。「メガネ先輩」という愛称が広く浸透したのも、「スラムダンク」という作品が韓国でなじみある作品だったからだろう。

漫画「スラムダンク」の原作者で映画の脚本・監督も手掛けた井上雅彦氏は「新たな角度と視点から見た『スラムダンク』を作った」とし「結局根っこは全て同じで、『スラムダンク』を既に知っていても、こんなスラムダンクもあるんだという気分を感じてほしい」と話している。聯合ニュースによると、今回の映画公開をきっかけに、漫画を再び手に取る人も増えているという。韓国のオンライン書店大手、イエス24によると、映画の封切に合わせて発売された特別版「スラムダンク チャンプ」は元日のベストセラー1位を記録した。主な購入層はやはり、かつて作品を読みふけっていた30~40代だといい、購入者全体の87%以上を占めた。


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