『シルミド』、『ブラザーフッド』以後、大人しかった韓国映画界に、15日、『力道山』(監督:ソン・へソン)が、“大ヒット”の夢を抱き観客に対面する。

ソル・ギョング の最新ニュースまとめ

一時、“天皇の次に力道山”という言葉があったそうだ。誰でも、住所の変わりにこの言葉を受取人欄に書いて送れば、ファンレターが彼のもとに届いたという。韓国では、プロレスラーキム・イルの師匠というくらいにしか知られていないが、日本では、力道山は国民的な英雄として崇められる、神のような存在である。

ソン・へソン監督にとって、力道山は他の英雄とは違っているようだ。戦後の日本を復旧するのに一役買ったある英雄、もしくは結婚指輪まで偽者だったイカサマ師、と評価が分かれるが、否定できない事実は、彼が一瞬一瞬を、「貴様か俺かどちらかが死ぬ」という思いで、熾烈な人生を行き抜いた人物であるということだ。
自ら明らかにしているように、監督はハデな見世物の部分ではなく、力道山という、1人の男の熾烈な人生にフォーカスを合わせている。

この映画が内外で大きな期待を集めているのは、ただ“すごい”実在人物を題材にしているからではない。
18㎏も体重を増やしてまで熱演した名優ソル・ギョングと、韓国映画には初出演の日本のスター女優中谷美紀、『パイラン』で観客を振りまわしたソン・へソン監督のネームバリューに、『殺人の追憶』『マルチュク青春通り』『犯罪の再構成』など、名門サイダスが制作を担ったという事実は、封切り日を指折り数えさせている。

この映画は、ウェルメイド映画の伝統を次いでまた新たな“大ヒット”神話を生み出せるだろうか。もしくは、今までの韓国映画界には無かった哲学と深みのある、ブロックバスターになれるだろうか。

期待が大きすぎるせいかもしれないが、6日に初めて公開されたこの映画は、図体ばかりずんぐり大きいだけの凡作にとどまった。
乾いたパンをミルク無しで食べたように、または満員のフィットネスクラブで長時間前だけを見て走ったかのように、映画は大して魅力のないエピソードと、先々まで見通せる構成で、ひどく平凡な英雄談を描いていた。

他の武道英雄とは違って、“ショウマンシップ”溢れる人物として知られている力道山は、劇中ではやけに目に力を入れた、淡白な人物。その人生も大きな(と言うか、小さくない)失敗と、大きな成功を繰り返すだけで、似たような他のスポーツ映画で見てきたのと同じ、苦難と克服、成功と不安の過程をそのまま踏襲している。
レスリング試合のシーンでも、これと言ったスタイルの無い、平凡な画面で一貫しており、力道山(ソル・ギョング)と妻(中谷美紀)のラブストーリーもあまり説得力が無い。

時は1963年、東京の夜の街。降りしきる雨の中を急ぐ車の中では、力道山が荒い息を吐いている。真っ赤な鮮血に染まっていく白いワイシャツ。血は腹を抱えこんだ力道山(ソル・ギョング)の手の上に溢れ出てくる。

血を流す力道山の姿から始まるこの映画は、過去の50年代に戻り、世界を手にしたが、笑えなかった男・力道山のストーリーを物語る。

1950年、力道山はランキング3位に上がった関取だった。だが、生粋の日本人で無ければ横綱に慣れないという言葉に、彼は反乱を起こし、結局、相撲を諦める。
相撲しかできなかった力道山。日々を酒に溺れて暮らしていた彼は、ある日、運命のようにレスリングに出会う。彼にとって、レスリングは相撲とは違う“別世界”のスポーツ。力道山は太平洋を越え、アメリカへ向かう。

2年後、プロレスラーとなって帰ってきた彼は、日本でプロレス事業を始める。みんなが半信半疑の状態で開かれた最初のレスリング試合。人々の心配とは異なり、試合は興行的に成功し、敗戦で失意に陥っていた日本は、力道山がアメリカ人選手を叩き倒す光景を目にして歓喜の声を上げる。徐々に国民的な英雄になっていく力道山。しかし、世界を手にしたと思った瞬間、彼の人生も狂い始める・・・。

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