(左から)ウォンビン、カン・ドンウォン、ソン・ガンホ
(左から)ウォンビン、カン・ドンウォン、ソン・ガンホ
2010年、『TSUNAMI(原題:海雲台/ヘウンデ)』のような“1千万映画”は存在しなかった。しかし、30~50億ウォン(約2億~4億5000万円)という比較的低予算の制作費で作られた映画がヒットし、ボックスオフィス10位内中、韓国映画が7作品を占めた。

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昨年末に公開された『アバター』が国内外のボックスオフィス記録を塗り替えながら、3D映画産業に大きな関心が寄せられた。ハリウッドの3D映画も相次いで公開され、政府の3D支援策も出てきた。

■制作費30~50億ウォン台の映画が成功=『TSUNAMI』(1千48万人)や『国家代表』(842万人)がヒットした昨年に比べ、観客動員1千万人をこえる大ヒット作は生まれなかった。

しかし、ウォンビン主演の『アジョシ』(622万人)やソン・ガンホ、カン・ドンウォン主演の『義兄弟』(546万人)が500万人を突破し成功を収めた。これらの作品の制作費が36~40億である点を見れば、制作会社の立場からはビッグヒットになったというわけだ。韓国映画『TSUNAMI』の制作費は130億ウォンを超え、『国家代表』もマーケティング費用を加算すると100億ウォン台になる作品だった。

自ら成果を上げたヒット作も多かった。制作費55億ウォンのチョン・ジェヨン主演『苔(こけ)』は337万人を動員、キム・ユンジン主演の『ハーモニー』(27億ウォン)は304万人、キム・ジュヒョク、チョ・ヨジョン主演の『房子伝』(40億ウォン)は301万人を突破している。

ことしの公開作品でボックスオフィス10位圏内にランクインした韓国映画は『アジョシ』、『義兄弟』、『苔』、『戦火の中へ』、『ハーモニー』、『房子伝』、『不当取引』の7作品だった。

中間規模の韓国映画もことし1年、劇場に足を運ぶ観客数が減少した。映画振興委員会の統計によると、ことし1~11月に映画館を訪れた観客は1億3千347万人で、昨年の同期間全体観客数1億3千794万人に及ばなかった。韓国映画の占有率も46.2%で昨年(51.2%)に比べ5%低い結果となった。これは『アバター』(1千335万人動員)の大きな人気で海外映画占有率が相対的に高くなり、昨年のような1千万人を超える大作が生まれなかったことが要因だといえる。

ジャンルではスリラー映画に人気が集まった。ウォンビン主演の『アジョシ』は青少年観覧不可であった上、暴力の残酷な描写、児童虐待などの重い素材だったにもかかわらず、ことしの最多観客数を記録した。

2度に渡り映像物等級委員会で制限上映可判定を受けたキム・ジウン監督の『悪魔を見た』も話題となり、『キム・ボクナム殺人事件の顛末』のチャン・チョルス監督は<大鐘賞>、<大韓民国映画大賞>などことしの国内映画祭で新人監督賞を受賞した。

このほかに、ユ・ジテ、スエ主演の『深夜のFM』、オム・ジョンファ主演の『ベストセラー』がボックスオフィスの1位となっている。

■『アバター』に触発された3Dブーム=昨年末に公開した『アバター』が1千335万人を動員し、歴代1位だった韓国映画『グエムル~漢江の怪物』(1千301万人)を更新する中、3Dに対する関心が集まった。これに続き3D映画が次々と公開され、政府の3D映画振興対策も発表された。

『アバター』に続き『不思議の国のアリス』、『ヒックとドラゴン』などアニメーションを中心に海外作品20編以上が公開された。国内でもチュ・ギョンジュン監督の『ナタリー』が3Dでお目見えした。この中で『ヒックとドラゴン』は観客数では256万人で13位に留まったが、興行売り上げでは270億ウォンで観客数5位の『苔』(252億ウォン)よりも多い収益を記録した。

このような3D映画の威力が増すと、政府も3D映画産業の支援に乗り出した。映画振興委員会は2012年までに208億ウォンを投入し、人材養成から海外配給まで合わせる3D一括支援体制を構築。文化体育観光部も2013年までにコンピューターグラフィック(CG)産業の育成に2千億ウォンを投入することを決めた。このような流れの中で、国内3D映画制作も続き『チング』のクァク・ギョンテク監督は延坪(ヨンピョン)海戦を素材にした『美しい私たち』を、チュ・ギョンジュン監督は『県の歌』を3Dで制作中だ。

■海外映画祭で朗報=<第63回カンヌ映画祭>公式部門にイ・チャンドン監督の『詩』とキム・サンス監督の『下女』が進出し、この中で『詩』が脚本賞を受賞した。ホン・サンス監督は『ハハハ』で別の公式部門「注目すべき視線賞」を受賞し、1984年イ・ドゥヨン監督の『女人残酷史 糸車よ糸車よ』が同部門に招待されて以降、26年ぶりの快挙となった。

チョン・スイル監督は『ヒマラヤ、風がとどまる場所』で<第4回チェルカルロ アンドレイ タールコープスキー国際映画祭>で監督賞と特別賞を受賞し、ポン・ジュノ監督の『マザー』も<第4回アジアフィルムアワード>で作品賞、主演女優賞、脚本賞の3冠王を達成した。

また、『詩』は<大韓民国映画大賞>監督賞、脚本賞、<父母の祭日映画賞>脚本賞、作品賞、<大鐘賞>脚本賞、<ヨンピョン賞>脚本賞、作品賞などを受賞し、国内主要映画賞を総なめにした。

■海外進出、復帰、永眠した映画人=俳優の海外進出も相次いだ。チョン・ジヒョンはウェイン・ワン監督『雪花と秘密の扇子』のヒロインに抜てきされた。ソン・ヘギョはウォン・カーウァイ監督『日大宗師』にキャスティングされ、トニー・レオンやチャン・チェンやチャン・ツィイーらと演技をともにした。

チョン・ジフン(Rain)は『ニンジャ・アサシン』でハリウッド・メジャー映画に主演し、チャン・ドンゴンもハリウッド大作『ウォリアーズ・ウェイ』で米国の観客に会った。チョン・ウソンはミシェール・ヨーとジョン・ウー監督の『剣雨江湖』に出演した。

イ・チャンドン監督の『詩』にヒロイン役で出演したユン・ジョンヒは16年ぶりにスクリーンへ復帰し、<カンヌ映画祭>でも好評を受け、<大鐘賞>の主演女優賞を受賞した。

海外進出や華麗な復帰を果たした俳優がいた反面、永眠した映画人も。1960~70年代に多くの映画で主人公を演じたベテラン俳優ツイスト・キムが脳出血で死去し、『若い日の肖像』を演出したクァク・ジギュン監督は自殺でこの世を去った。

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