イ・ジュホ の最新ニュースまとめ
韓国メディアによると、先月30日、ソウル市内の小学校で6年生の男子児童が担任の女性教諭に向かって暴言を浴びせた上、殴る、蹴るなどの暴行をした。教諭は全治3週間のけがを負った。
被害を受けた女性教諭が小学校教員向けのインターネット・コミュニティー・サイトに投稿したことで明るみになった。教諭は「提訴を決めた。当該児童に『あなたが間違っているのは明らかだ』と理解させたいので、厳罰を求める嘆願書をお願いします」などと記した。
事件が起きた小学校では19日、教権保護委員会を開き、加害児童に対し、転校処分とすることを決めた。同委員会は各学校の教員、保護者、弁護士、専門家ら5人以上10人以下で構成される。韓国メディアによると、小中学校は義務教育であるため、事実上、退学処分は不可能で、転校が最も重い処分だという。学校と市・道教育庁が開く、教権保護委員会は、教諭の教育活動を侵害した児童を対象に、学校奉仕、社会奉仕、特別教育、出席停止、学級交替、転校のいずれかの処分を下すことができることになっている。
また、ソウル教師労組は、事件直後の学校やソウル市教育庁の対応が不十分だったと批判した。同労総は「学校は教育活動の侵害を受けた場合、すぐに教員の治癒と教権の回復に必要な措置をとるべきだが、教権保護委員会が開かれたのは事件から19日が経った今月19日だ。被害教師は個人的に選任した弁護士と、ソウル教師労組のほかにはどこからも実質的な助けを受けられずにいる」と非難した。これに対し、ソウル市教育庁は「教育活動の侵害事案に対する厳正な措置を取り、教員の正当な教育活動を保護するため努力していく」としている。
また、今月18日、ソウル市内の小学校で1年生の担任をしていた2年目の教諭が遺体で発見された。自殺とみられている。同校の複数の関係者からは、死亡した教諭を含め同校に勤務する教諭たちは、保護者から寄せられる過度なクレームへの対応に苦慮していたという。
韓国紙の朝鮮日報は「教権の失墜は教育的観点からも深刻な問題だ」と指摘。「今や児童生徒も、教師は保護者からの抗議に弱いということを知っている」と伝えた。ソウル近郊のキョンギド(京畿道)の小学校に勤務する8年目の教諭は同紙の取材に、昨年、児童から「国語の授業は面白くないから、お母さんに抗議してもらう」と言われたと話した。児童を指導したところ、児童虐待で告訴されるケースも増えているという。
韓国の教師労働組合連盟が今年4月、組合員1万1377人を対象に行ったアンケートで、「現在の教職生活に満足しているか」との質問に、「非常に満足している」と答えた人はわずか1.2%だった。
一連の事態を受けて、イ・ジュホ教育部長官は21日、児童・生徒の人権を過度に強調する制度と風潮により教師の正当な教育活動が委縮することのないよう、「学生人権条例」などを見直す考えを明らかにした。イ長官は「児童・生徒の人権が過剰に強調され、優先されていることで学級崩壊が起きている。学生人権条例の差別禁止条項のため正当な賞賛と激励がほかの児童・生徒への差別と受け止められ、さまざまな授業が難しくなっている。私生活の自由を過度に主張するせいで、積極的な生活指導が困難になり、教師への暴行が発生している」と教育現場における問題点を指摘した。
一方、朝鮮日報はコラムで、「教師の教育活動を保護する法案は今も国会で審議が進んでいない」と指摘。「教権を守る対策が出されなければ、もはや教育に未来はない。それが今の韓国の現状だ」と早期の対応を求めた。
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